企業向け人材開発の業界誌である『企業と人材』に弊社代表理事の論文(寄稿)が掲載されました。

SDGs達成のカギは、何と言っても民間企業が本気で取り組むかどうか。そのための雰囲気作りや環境分野を中心とした規制や市場ルール形成は進んできています。

しかし、日本では多くの場合、企業の側に有効な実践ノウハウがないか、不足しています

「企業による社会課題への取り組み」の名の下に混同されがちですが、環境社会分野の規制・市場ルールへのキャッチアップやCSR活動のノウハウと、SDGsや社会課題解決型ビジネスの実践ノウハウとは、実は全く別のものです。

「SDGsの重要性を理解し活躍する人材になるために、どのように学びや制度を整えるべきか」

企業が本気でSDGsへの取り組みを目指す上で大事なポイントとなるこの点について、現状と課題を明らかにし、解決策を提示しています。

冒頭部分をここでご紹介します。残りは是非、『企業と人材』2020年7月号をご参照ください。

記事抜粋

最近、SDGs(エスディージーズ)という言葉をよく耳にすることがないでしょうか。SDGsとは、Sustainable Development Goalsのことで、日本語で「持続可能な開発目標」といいます。2015年に国連と193カ国によって合意された2030年までの世界と人類の目標です。貧困、医療、教育、気候変動、平和構築といった地球規模の課題に関し、17個の目標と169個のターゲットが定められています。

SDGsは東京オリンピックや大阪万博のテーマに掲げられるなど、日本でも盛り上がっています。2016年に政府は推進本部を立ち上げ、関係各省が規制、指針、ガイドライン、プラットフォーム等の整備を進めています。地方にも拠点が立ち上がってきており、札幌、横浜、名古屋など、現在60か所にSDGs推進都市があります。学習指導要領にも取り込まれ、幼稚園、小中学校及び高等学校の教科書に掲載されるとともに、受験を含む試験問題にも出題されるようになりました。

民間セクターにおいても浸透が進んでおり、企業のウェブサイトやパンフレット等でSDGsをよく見かけるようになっています。2019年に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が実施した調査によると、上場企業でのSDGsの認知度は96.7%に達しています。2017年に経団連が企業行動憲章の中にSDGsを取り込んだことを契機に、上場企業にとってSDGsは「意識の高い経営者だけが知っていること」から、「知らないと恥ずかしいこと」へと認識が変わりました。また、企業の非財務的価値を重視した新しい投資の形態であるESG(Environment, Social, Governance)投資が株式市場における新たなルールとして急速に台頭し、SDGsの浸透に拍車をかけています。

一方で、多くの企業はSDGsを認知していても理解度は浅く、実際に取り組むにあたっては様々な課題を抱えているのが実情です。SDGsを利用して自社のイメージを表面的に高めようとする、”SDGsウォッシュ”と呼ばれる事例も指摘されています。こうした問題の背景には、企業に勤めるビジネスパーソンの多くが、SDGsを充分に理解できていないことがあります。これまでのSDGsに関する企業向け研修は、こうした状況の改善に対して十分な効果を上げてこれませんでした。SDGsの導入・実践を目指す企業にとって、SDGsの重要性を理解し活躍する人材を社内に育てるためには、どのような点に気を付けて学びや制度を整えるべきなのでしょうか。その鍵は、SDGsとは何か(What)、なぜ取り組むべきなのか(Why)、どのように実践すればよいのか(How)、という3つの要素を正しく伝えていくことにあります。