『The Sustainable Development Goals Report(持続可能な開発目標報告書)』は、これまでの世界での実施努力を報告するとともに、2030年に向けて実施が進んでいる分野と今後より多くの行動が必要な分野を強調しています。
SDGsの採択から4年が経過した2019年報告書では、極度の貧困削減、予防接種の普及、子どもの死亡率の低下、人々の電気へのアクセスの増加など、いくつかの分野での進展に言及していますが、世界的な対応はまだ十分に積極的であるとはいえず、最も弱い立場にある人々や国が最も苦しんでいることが課題であると警告しています。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は報告書を通じて、
2030年の目標達成に必要な社会的・経済的変革を実現するためには、より深く、より迅速で、より野心的な対応が必要であることは明らかである。
https://www.un.org/sustainabledevelopment/progress-report/
と述べています。
主な調査結果の中には、以下のようなものが挙げられます。
- 国の間でも国の中でも不平等が増大していることには、緊急の注意が必要である。発育不全の子どもの4分の3が南アジアとサハラ以南のアフリカに住んでいること、極端な貧困は都市部よりも農村部の方が3倍高いこと、重度の障害を持つ人の4分の1しか障害年金を受け取っていないこと、女性や女児はいまだに不平等であることなどが挙げられる。
- 2018年は記録上4番目に暖かい年で、二酸化炭素濃度のレベルは2018年も上昇し続けた。海洋の酸性度は産業革命以前と比べて26%高く、現在のCO2排出量の割合でいくと2100年までに100%から150%増加すると予測されている。
- 極貧の中で暮らす人々の数は1990年の36%から2018年には8.6%に減少したものの、世界が慢性的な貧困、暴力的な紛争、自然災害への脆弱性への対応に苦慮していることなどが原因となり、貧困削減のペースは減速し始めている。
- 世界の飢餓は長期的な減少の後、増加傾向にある。
また報告書では、温室効果ガスの排出量を削減することは、雇用を創出し、より住みやすい都市を建設し、すべての人の健康と繁栄を向上させることと密接に関連しているなど、それぞれのゴールが相互にリンクすることで、進展を加速させるための機会が存在することを示しています。
国連は、2020年9月に開催される第74回総会の時期に、持続可能な開発目標と気候行動サミット、その他の重要な会議を開催し、世界の指導者とグローバル・コミュニティを再活性化させ、人と地球のための今後10年間の成果を実現するための新たなスタートを切ります。企業としてもSDGsへの対応が問われる10年になってきます。
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