ゲスト:アルケリス株式会社代表取締役 CEO 藤澤 秀行さん
パーソナリティ:弊社代表パートナー 吉野 賢哉 / フリーアナウンサー 魚住りえ
1.オープニング・トーク
(魚住)
この番組ではSDGsの内容を分かりやすくお伝えするとともに、ゲストをお迎えしSDGsとビジネスを組み合わせる企業の取組を伺うことで、私たちが個人や企業で出来ることを一緒に考えていきます。
2.サステナフォーカス
(吉野)
本日のゲストは、アルケリス株式会社代表取締役 CEO 藤澤 秀行さんです。本日はよろしくお願いいたします。
横浜市を拠点とするアルケリスは、地元で50年以上続く金型メーカーの新規事業としてスタートし、2020年にスピンオフし、新たな会社として設立されました。それは、長時間の立ち仕事の体力的な負担を軽減するアシストスーツの開発・販売です。これまでに世界最大のデザイン賞であるネットドットアワードのほか、ものづくり日本大賞など数々の賞を受賞しています。
(吉野)
まずはアルケリスとはどのようなものか教えていただけますか。
(藤澤)
アルケリスは立ち姿勢の身体を支えることで、立ち仕事による疲労を大幅に軽減するアシストスーツです。一見ロボットのようなものを脚に装着しまして、脛と腿で体重を分散して支えることで、体幹が安定し腰痛の心配なく長時間の立ち仕事ができるというものになっています。
(吉野)
実際に先ほど装着してみたのですが、実際とても楽しかったです。モビルスーツを装着しているような気分でした(笑)
アシストスーツを使うと力を抜きながらも立っていることができて、立っていながらも座っているような感覚で、これはすごいなと感じました。
(魚住)
背骨が自然にS字に保たれることで体幹が安定し、立ち仕事だけではなく座り仕事でも負担が軽減するとのことで非常に役に立つこのアルケリスなのですが、もともとは医療用として開発されたとのことで、そのきっかけを教えてください。
(藤澤)
2014年にあるドクターから長時間のオペで立っている医師の負担ができないかとの相談をいただいたことが開発のきっかけです。基本的に立ち姿勢で想定されているオペレーションにおいて、少しでも医師たちの負担を減らせないかとのことでした。そしてアルケリスの開発後、メディアなどで取り上げられる中で、そのほかの分野の仕事(コック、警備員、美容師など)でも重宝されるのではとの声をいただきました。
アルケリスは電源やバッテリーを使用しない工学的な仕組みで設計されているだけではなく、足に3点を固定するだけという使用者でも簡単に装着できる仕組みになっており、誰でも使いやすいのも特徴です。
(魚住)
2014年から開発が始まったとのことですが、大変だったことなどはありますか。
(藤澤)
人につける装置ということで、着け心地に対する感想が十人十色で、アルケリスの開発には14号機まで制作が必要でした。1,000名以上の人々に展示会や様々な職場で試着してもらい、その感想をフィードバックする形で開発に反映させるのが大変でしたね。
(魚住)
現在は医療向け・工場向けが実用化されていますが、今後の目標をお聞かせください。
(藤澤)
アルケリスにはまだ開発の余地があり、より多くの方に使ってもらうためにバージョン2.0の開発を進めています。それを来年には公開できればと思っています。また海外展開のためにシリコンバレーに拠点を置いたのですが、コロナの影響でまだ具体的に動けていないので、コロナが落ち着いたら海外のお客様にももっと知ってもらえるよう動き始めたいと思っています。
2030年までの目標としては、まだウェアラブル機器としての知名度が低いので、今後当たり前のように人々が身に着けて過ごせる世界にしたいと思っています。例えば眼鏡も開発された当初はきっと変な目で見られたと思いますが、今ではファッションのアイテムとしても使われていますよね。そのように、人間の機能を補完しつつ健康を保てるウェアラブル機器を人々が当たり前に身に着けて、人々が平等に健康に過ごせるといいなと思っています。
3.クロージング・トーク
(吉野)
魚住さん、今日のゲストのお話を聞いていかがでしたか。
(魚住)
実際にアシストスーツを装着してみて、思いのほか使いやすく、体重を支えてもらうことで楽に作業できるなと感じました。いつかはファッションとして洋服と一体化したようなものができればいいと思いました。
注:本記事は放送内容の完全な書き起こしではなく、必要に応じて要約や加筆・修正を行っています。また、敬称は省略させていただいています。
「SDGsティーチャー」は、TOKYOFMで2021年10月まで放送されたラジオ番組です。
同番組では、サステナビリティを実現し社会課題を解決するための活動を行っている団体 や企業からゲストをお招きし、そのきっかけや今後の目標についてお聞きしました。
AuDeeのラジオアプリからも、過去の放送をご視聴いただけます。https://audee.jp/program/show/51837