ゲスト:みんな電力株式会社 竹蓋 優貴さん
パーソナリティ:弊社代表理事 青柳仁士 / フリーアナウンサー 魚住りえ

1.オープニング・トーク

(魚住)

二度目の緊急事態宣言によって、在宅で働く方がまた増えましたよね。そんな中で、主婦の私からすると気になるのが、日々の光熱費です。

(青柳)

私も講演や研修をオンラインで在宅で行う機会が増えました。今までであればオフィスで働く際に企業が払っていた光熱費を自身で払うとなると、電気代はもちろん自分が使う電気がどこからきているのか、改めて考え直す機会になればと思っています。

日本はすでに電気の販売が自由化されていますので、様々な企業から選択ができるわけですが、値段はもちろん、自分が使う電気を石油由来のものか、もしくは風力発電や太陽光などの再生可能エネルギー由来の電気かをご家庭でも簡単に選択できるようになりました。今こそ電気とSDGsとのつながりを知る機会になればいいですね。今回のゲストは、その再生可能エネルギーの電気に関連する方をお呼びしています。

2.サステナフォーカス

(青柳)

本日のゲストは、みんな電力 社長室 プロジェクト推進チームマネージャーの竹蓋 優貴さんです。本日はよろしくお願いいたします。

(魚住)

みんな電力は、2011年に設立された世界で例を見ない電気小売サービス事業者です。竹蓋さんは社員第一号として立ち上げから携わっていました。同社の特徴は国内大小の様々な自然エネルギーの発電所と契約し、そこで作られた電気を利用者に提供しています。これまでJapan SDGsアワードでSDGs推進本部長内閣総理大臣賞を受賞、また環境省より脱炭素社会にイノベーションで貢献する企業として表彰されています。

(青柳)

まずは昨年度のJapan SDGsアワードの受賞、おめでとうございます!みんな電力の事業についてや、受賞の理由などを教えていただけますか。

(竹蓋)

ありがとうございます。同社の設立以来、面白いと感じられる取り組みを軸として事業を行っていましたが、大きなターニングポイントとして2016年の電気の自由化がありました。これにより始めた弊社の『顔の見える電力』サービスが、現在の主力の事業となっています。

『顔の見える電力』とは、日本各地の自然エネルギーの発電所を見える化し、消費者が選択して電気を購入できるというサービスです。これにより地方と都市を結び『地産地消の』モデルが出来上がりました。この取組が評価され、今回の受賞に結び付いたと考えています。

(青柳)

電力の『価格』ではなく、『どのように作られているか』に焦点を当てたんですね。日本は7割弱が火力発電ですから、自身が使っている電気は火力発電によりCO2を発生させながら作られた電気なのかもしれない、それが温暖化につながっているかもしれないと、消費者に想像をしてもらいたいということですね。

(竹蓋)

そうですね。どうやって作られたかはもちろんですが、皆さんが支払っている電気代も最終的に誰のもとに支払われるのかまで想像を巡らせてもらえたらうれしいです。

(魚住)

利用者はどのようにして発電の企業を選んでいるんですか?

(竹蓋)

様々な日本の自然資源やもともとの事業を活かした発電所がありまして、それを利用者の考えや趣向によって自由に選んでもらえるような仕組みになっています。またふるさと納税のように、ある発電所からの電気を選んだ場合に返礼品が届くという面白い取り組みも広がっています。

(青柳)

どのような仕組みで、この『顔の見える電力』を実現させたのでしょうか。

(竹蓋)

みんな電力独自の開発で、発電所を選ぶプラットフォームを提供しています。このホームページで150近くの電気の生産者の顔を掲載しており、電気の契約の後に選択できるという仕組みになっています。またブロックチェーン技術を利用し、需要量と供給量を30分単位でつなぐという仕組みも持ち合わせています。代表的な例ですと、先日こちらの番組に出演されていたマルイ様の本店ビルは、このブロックチェーン技術により青森の発電会社の電力が供給されています。特に昨今の政府の脱炭素宣言を受け、大規模な法人による本サービスの積極的な活用が増えてきているといった印象です。

(青柳)

企業が100%再生可能エネルギー利用を目指そうとしたときに、みんな電力の提供するサービスがそのような法人の動きを後押しするような仕組みになっていけば、よりSDGsにも広がりが出るのではないかなと思います。

(青柳)

今後、みんな電力が掲げている『持続可能な社会』への目標やビジョンについてお聞かせください。

(竹蓋)

ひとりひとりが自然エネルギーに目を向けることを期待しています。政府の方針や企業の利用もそうですが、サステナブルな世界を目指す動きが主流化してきていて、あとは個人や消費者の意識なのかと思います。というのも、各家庭が自然エネルギーに切り替えると、家庭が排出するCO2を約半分削減できると算出されており、これが100万人となると日本の大手自動車メーカーの排出する量を優に超えることができます。それぐらいのインパクトがあることを一人一人に知ってもらい、簡単に切り替える仕組みや安定性をより皆さんにわかりやすく伝えていくことで、日本中のCO2 削減に貢献できる取り組みになればと思っています。

3.クロージング・トーク

(魚住)

本日お越しいただいた竹蓋さんのお話を聞いて、いかがだったでしょうか。

(青柳)

『イノベーション』を示す良い例であると感じました。日本の地方の企業を応援しながらCO2削減を実現できる仕組みが、ウェブサイトでの簡単な切り替え申し込みのみで、ブロックチェーンの技術を使ってできるようになった、という典型的な好例です。

イノベーションは、既存の技術の組み合わせといわれています。今回は電力の分野でしたが、17あるSDGsのあらゆるゴールにおいて、このようなイノベーションが起こっていくとすごくいいのではないかと思います。


注:本記事は放送内容の完全な書き起こしではなく、必要に応じて要約や加筆・修正を行っています。また、敬称は省略させていただいています。

「SDGsティーチャー」は、TOKYOFMで2021年10月まで放送されたラジオ番組です。
同番組では、サステナビリティを実現し社会課題を解決するための活動を行っている団体 や企業からゲストをお招きし、そのきっかけや今後の目標についてお聞きしました。

AuDeeのラジオアプリからも、過去の放送をご視聴いただけます。https://audee.jp/program/show/51837