ゲスト:株式会社スマイリーアース 代表取締役社長 奥 龍将さん
パーソナリティ:弊社代表理事 青柳仁士 / フリーアナウンサー 魚住りえ

1.オープニング・トーク

(魚住)

番組が始まって約半年がたちましたが、未だにコロナは収束せず、外出や旅行を躊躇している方がほとんどではないかと思います。

(青柳)

今このコロナ禍で、バーチャルツアーというのが増えています。またその中でもバーチャルツアーを通じて社会課題の現場を見せたり、社会課題解決に参加するという取り組みも始まっています。ニュースの映像でしか見たことがないような南極の氷が解け落ちる様子や、難民キャンプの様子などをバーチャルツアーを通じて体感することで、SDGs達成のための取り組みを知ったり、自分事として捉える機会になればと思っています。

2.サステナフォーカス

(青柳)

本日のゲストは、株式会社スマイリーアース代表取締役社長の、奥 龍将さんです。本日はよろしくお願いいたします。

(魚住)

スマイリーアースは、親子3代に渡りタオル製造を続けてきた企業です。原料に、遺伝子組み換えゼロのウガンダ産オーガニックコットンを使用し、製造工程において化学薬剤ゼロおよび化石エネルギーゼロを実現したタオルを製造・販売しています。こうした取り組みが評価され、2018年に第7回ものづくり日本大賞で経済産業大臣賞を受賞、2019年には第一回STI For SDGsアワードの優秀賞を受賞しています。

(青柳)

まずはスマイリーアースのタオルと一般的なタオル、どんなところが違うのかお教えいただけますか。

(奥)

一般的なタオルは、材料となる綿花に対して吸水性や色を付けくわえる工程の中で多種多様な化学薬品を使っています。当社のタオルは、そのような化学薬剤に依存しないプロセスで作られるタオルとなっています。

(青柳)

スタジオにお送りいただいたスマイリーアースのタオルを現在見せていただいていますが、とてもやさしい肌触りですね。真面綿(まじめん)という名前が書かれていますね。

(奥)

オーガニックコットンを原料としたタオル製品はたくさん見かけるかと思うのですが、製造の工程で、一般的なタオルと変わらないような化学薬剤を使ったプロセスが一般化してしまっており、当社では農家さんが真面目にこだわって作ってくれたオーガニックコットンをそのままお客さんに提供できるようなものづくりを追及しており、原料の風合いや手触りの感動を届けられるように作っています。

(青柳)

そもそもこの化学薬剤に依存しないタオルを作ろうと思ったきっかけを教えていただけますか。

(奥)

私たちの街である大阪府泉佐野市は、高度成長期に日本製タオル発祥の地として成長を遂げました。私が小学生だった頃、私たちの住む地域にある川の汚染が日本でワースト1となり、原因を調べるとタオル製造の過程で排出される化学薬剤が大きな影響を与えていることがわかりました。私たちの街を支えていた特産品が、私たちの川を汚していたのです。

そこでタオル工程に必要であり、化学薬剤を大量に使用されていた分業体制からの脱却を目指し、一貫生産体制を行える企業体制を整え始めました。廃業した関連会社から機械を譲り受けながら約2年で完成させました。化学薬剤に依存しないため、素材に負荷をかけない古い機械を活用しているのも特徴です。

(青柳)

化学薬剤に依存しない製法となると、かかってくるコストが高く商品の価格にも反映されてしまうかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

(奥)

開発期間に10年間かかっている部分がコストに乗っている部分もあるのですが、今まで化学薬剤会社に支払っていた費用がゼロになったり、また一番大きかったのは、コストの大部分であった汚染水の処理にかかる金額がほとんどなくなり、タオルの適正価格を実現することができています。

現在処理水は無害な「資源水」となっており、貯水しているプールの中でいろんな生物が繁殖しており、野鳥が訪れたりとビオトープのような存在になってきているように感じます。ワースト1になってしまった川も、今後は自分たちの取り組みの中できれいになり、数多くの生物が共存していた川に戻ればと期待しています。

3.クロージング・トーク

(青柳)

皆さんの身の回りにあるタオルから、SDGsを考えてみてください。


注:本記事は放送内容の完全な書き起こしではなく、必要に応じて要約や加筆・修正を行っています。また、敬称は省略させていただいています。

「SDGsティーチャー」は、TOKYOFMで2021年10月まで放送されたラジオ番組です。
同番組では、サステナビリティを実現し社会課題を解決するための活動を行っている団体 や企業からゲストをお招きし、そのきっかけや今後の目標についてお聞きしました。

AuDeeのラジオアプリからも、過去の放送をご視聴いただけます。https://audee.jp/program/show/51837