ゲスト:横河電機 サステナビリティ推進部長 古川千佳さん
パーソナリティ:弊社代表理事 青柳仁士 / フリーアナウンサー 魚住りえ

1.オープニング・トーク

(魚住)

この番組が始まって5ヶ月が経ちましたが、最近はSDGsに取り組もうとしている企業の方からのメッセージをいただくことも増えてきました。

(青柳)

事業にかかわっている人もそうなのですが、人事・採用においても実はSDGsはすごく重要で、ミレニアル世代と言われる2001年以降に生まれた若い人たちにとって、どの企業で働きたいかという選択の基準が、どれだけお給料がもらえるのかや、福利厚生が充実しているなどだけではなく、自分がいかに社会貢献できるかというのが一つの重要な軸になってきていると言われています。昔のように国や企業を大きくするという考え方ではなく、経済が発展しそのような考え方ができるほど成熟してきたとも言えますね。

2.サステナフォーカス

(青柳)

本日のゲストは、横河電機 サステナビリティ推進部長 古川 千佳さんです。本日はよろしくお願いいたします。

(魚住)

横河電機は、1915年の創立以来、計測、情報の技術を軸に、産業界を支えてきた企業です。主力の制御事業では、石油・ガス・電力・紙パルプなど様々な分野の工場向けに、生産設備を制御するシステムや計測器を提供、また、高効率で安全な操業を実現するサービスをグローバルに展開しています。

(青柳)

古川さんは2015年からグループ全体のサステナビリティを統括されているとのことですが、国連でSDGsが採択された同年に、取り組みを始めたきっかけを教えてください。

(古川)

横河電機は創業100年を超える企業なのですが、近年はいわゆる石油メジャーといわれる企業様との取引の比重が多くなってきているなかで2015年に国連でSDGsとパリ協定が採択され、自然由来のエネルギーに移行していくということは、当社にとって将来のビジネスが大きく影響する事件のように感じました。企業の存続のためにも世界の変化や人々の動きに徹底的に向き合い、企業としてサステナビリティを重要なテーマに掲げるようになりました。

(青柳)

特に現在SDGsに先進的と言われる企業の多くは、まさに横河電機さんのようにSDGsが事業の脅威になりうるという業種が多かったりします。初めに取ったアクションはどのようなものだったのですか。

(古川)

SDGsの内容をみると、ターゲットの中には当社が関わっている項目が多くあると感じました。そのためまずは方針や目標を掲げ、進むべき方向をクリアに示すためにも、SDGsに沿った内容にしていこうという基本的な方向性が出来上がりました。

(青柳)

非常に参考になる部分が多いのですが、特に世界中に拠点を持つ大企業にとっては、一部の国の価値観で事業をやろうとしても通用しません。そこで世界全体の共通の目標であり理念であるSDGsに沿った形で進めていくことは合理的だと判断されたわけですね。

とはいえ、当時SDGsの対する認知度が低い中で、どのようなことから始められたのでしょうか。

(古川)

社内でもSDGsはほとんど知られていない状態でしたが、当社は2009年に国連の【グローバルコンパクト】に加入しており、比較的早い段階からSDGsの勉強会に参加していました。その際にほかの企業様で同じような悩みを持つ方々と情報交換をしたり有識者の方から意見をいただいていたのですが、それが非常に良かったと思います。

(魚住)

冒頭で青柳さんが学生さんが企業に何を求めるかという話をしていましたが、やはりSDGsへの取り組みは学生さんに発信する意味でも欠かせなくなってきているということでしょうか。

(古川)

その通りですね。今学生さんは学校でSDGsを学んでいるので、若い方の意識が高くなってきていると感じます。当社はグローバルに採用をしているのですが、欧州では日本よりもサステナビリティに対する思いが強く、企業としての理念などもシビアにみられていると思います。また企業として社員を人件費=コストととらえているのか、それとも人材=資産として捉えているのか、また差別をなくす努力を行っているかなども見られています。そのような若い方々の考えを理解し、しっかりした方針のもと進めていくのが重要だと思っています。またそれだけではなく企業の行った活動の結果を数字として公開することも求められていると感じます。

(青柳)

取引先が石油メジャーが多いとのことでしたが、近年の脱炭素の動きをどのように捉えていらっしゃいますか。

(古川)

脱酸素の動きに加えて新型コロナウイルスの影響で人々の移動が少なくなったことで、表面だけ見れば影響を受けているように感じますが、当社の強みはお客様の工場での効率化や安全化を進めたりすることなので、ビジネスチャンスは広がっていると思っています。石油メジャーの取引先も近年は再生可能エネルギーの分野で積極的に投資を進めていて、エネルギー以降のお手伝いをしていますし、バイオの分野でも当社の活躍の場があると捉えています。

SDGsはみんなのためにみんなで取り組むものだと思っています。SDGsを目指す中で新しいパートナシップが生まれていて、そのような新しいチャレンジをしている人や企業をこれからも当社の事業を通じて応援していきたいと思っています。

3.クロージング・トーク

(魚住)

本日お越しいただいた古川さんのお話を聞いて、いかがだったでしょうか。

(青柳)

色んな企業にとってヒントになる話が詰まっていたように思います。どのような【モノ】を社会に対して作っているのではなく、どのような【価値】を社会に生み出しているかが重要で、SDGsでの取り組みにつながっていきます。テクノロジーをどうSDGsに活かすかが重要で、持続可能な社会をつくるためにどう使っていくかが大切であると感じました。


注:本記事は放送内容の完全な書き起こしではなく、必要に応じて要約や加筆・修正を行っています。また、敬称は省略させていただいています。

「SDGsティーチャー」は、TOKYOFMで2021年10月まで放送されたラジオ番組です。
同番組では、サステナビリティを実現し社会課題を解決するための活動を行っている団体 や企業からゲストをお招きし、そのきっかけや今後の目標についてお聞きしました。

AuDeeのラジオアプリからも、過去の放送をご視聴いただけます。https://audee.jp/program/show/51837