国連で採択されたSDGs文書の原典です。成立に携わった各国の外交交渉官や国連職員にとっては、夜を徹して戦い続け妥結に至った汗と涙の結晶とも言えるものです。

SDGsレベルの外交文書を成立させるには、多様なステークホルダーからの無数のコメントを受け、反映や修正を繰り返さなければいけません。文章全体としてだけでなく、一言一句に魂が込められています。例えば発展という意味に「Development」と「Progress」のどちらの単語を使うかなど、一般から見れば些細なことでも、交渉の争点として議論の末に採用されていたりします。

外交の領域において、2012年頃までSDGsは「Post MDGs Agenda(ミレニアム開発目標(MDGs)の次のアジェンダ)」と呼ばれ、本格的な交渉は始まっていませんでした。これは、MDGsの目標年までまだ3年もあるのに、新しい目標を考え始めてしまうと、国際社会はMDGsの達成を諦めたのかとの批判を避けるためでもありました。

2013年のリオ+20という環境会合で初めてSustainable Development Goalsという言葉が公式に使われ始め、そこから成立に向けて国連総会での本会議から、途上国現場でのコンサルテーションまで、大小様々なディスカッションが積み上げられました。

日本語訳はこちらで見ることができますが、英語版を読むと生の原典にしかない迫力や深みを味わうことができます。背景にある外交交渉を思い浮かべながら読んでみるとより楽しめると思います。

なお、”SDGsの原典”という場合、英語版だけではなく、仏語や中国語など他の国連公用語で書かれた同じ文書もステータスとしては同様です。しかし、通常、国連の実務的な会議で使われる言語は英語がほとんどであるため、やはり実質的な原点としてはこちらの英語版と言って差し支えありません。

発行元:国際連合事務局