ここまで企業のSDGs実践について解説してきましたが、一番大切なことは、「とにかくやってみる」ことに尽きます。

いつまでも似たようなSDGsの記事や文献・資料を読み続けたり、複数のセミナーやスクールを渡り歩いたり、SDGsゲームや動画などの導入施策の横展開を続けたりするのは、SDGsの本当の実践からみると非効率かつ遠回りの方法と言えます。玉石混合の違う意見をたくさん聞くにつれて何がベストか余計に分からなくなり、動けなくなるという意味においては有害ですらあります。

「とにかくやってみる」という方法が有効であるのは、個人も企業も同じです。企業の場合は、担当者(あなた)がやってみることが大事です。

なぜなら、やってみないと分からないこと、気づけない視点、感じられない気持ち、持ちえない動機などがたくさんあるからです。

例えば、SDGsバッジをつけてみたことはあるでしょうか?SDGsバッジをつけて街を歩いていると、周りには少なからず目を止める人がいます。あなたの手にペットボトルがあったとして、ごみ箱には「ビン」と「カン」とかかれたごみ箱があったとき、あなたは周囲の目に気まずさを感じ、「面倒くさいから」という理由でそのごみ箱にペットボトルを突っ込むことはできなくなります。その「気まずさ」を感じたときが、SDGsにおける世界の「共感」の切れ端にあなたの感性のアンテナが反応した瞬間です。

あるいは、いつもは「電気代節約」という目的でやっていた電気をこまめに消すという行動を、CO2削減や環境保護といった地球のためという目的や共感を思い浮かべてやってみてください。同じ行動であっても、目的が違えば新たな視点、思考、感情を得ることができます。

家電製品のお店に行ったら、単に製品の性能・使い勝手や価格のお買い得感のことだけではなく、環境性能についても店員さんに尋ねてみてください。品質とコストだけではなく、社会価値を踏まえた買い物(顧客体験)を実感することができます。

具体的な行動であなたの中に発生した新しい”何か”から、「これがSDGsの行動ということは、あれもそうなのか?」、「もしかしたら、こういうことも言えるのでは?」、「だとしたら、会社での取り組みはこうしたら良いのではないか?」、といった形で発想が広がっていきます。

ここまでの文章を読んで、「ああ、なんとなく分かるよ」というのも残念ながらNGです。実際にやらずに分かったつもりになることは最も危険なことです。

「知っている」ことと、「理解している」こととは、全く別次元の話です。この実践講座を読めば、おそらくSDGs実践とは何か(What)や、なぜ取り組むべきなのか(Why)を知ることはできると思います。しかし、最終的な目的である実践、すなわち行動に繋げていくための理解度として十分とは言えません。それを書き物で伝えるには限界があり、この先は、やってみて、自社や自分のものとして腹落ちさせ、体得していくしかありません。

更には、本当に意味のある成果を得るための実践を行うには、理解しているだけでも不十分です。どうやってやるのか(How)という効果的な方法論と、実行できるだけの組織と個人の能力育成が必要です。ここが企業とSDGsをつなぐラストマイルなのですが、ノウハウを企業に提供できるアクターが存在しなかったため、SDGsアントレプレナーズは創業されました。現在も数十社の企業に対し、「SDGs応援プログラム」という形でそれらを提供し続けています。

いずれにせよ、まずは自身でやってみることが必要です。やり方は、極めて簡単です。一番簡単なことから始めてください。食べ残しをしないこと(ゴール2)でも、マイボトルを携帯すること(ゴール6)でも、SDGsバッジをつけることでも良いです。

「そうは言っても何をやればいいか分からない」という方のために、「今日から始めるSDGs ~ あなたにもできる17のミニ・ゴール」を作成してみました。SDGsの目標に直結しており、かつ誰にでもできる行動をまとめていますので、宜しければ活用してみてください。

また、その他の公開ツールについても、こちらで紹介しておきます。

『持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド』 国連広報センター

『グッドライフゴール』 持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD: World Business Council for Sustainable Development

是非、今日から、または、今すぐにでも、SDGsの実践を始めてみてください。