サステナビリティはSDGsとESGを含む

SDGsのような世界を持続可能にしようとする動きの総称を「サステナビリティ」といいます。

SDGsは直訳すると「持続可能な開発目標」です。一方、サスナビリティは直訳すると「持続可能性」です。企業が取り組む際にはよく混同されています。ここでは、もう一つの混同されがちな言葉である「ESG」とともに整理してみたいと思います。

ESG投資とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governence(企業統治)の略で、収益などの経済的な価値に加えて、こうした社会的な価値を含めて企業価値を評価するという新しい投資の仕組みです。なお、ここでのESGとは、ESG投資だけではなく、「投資家主導のサステナビリティ全般」とします。

これら3者の関係を簡単に言えば、「企業がサステナビリティに取り組む際には、SDGsとESGの大きく2つの方法がある」ということになります。

SDGsとESGは持続可能な世界を実現するためのサステナビリティの潮流を推進する最も強力な2つの動力であり、車の両輪です。

ESGとSDGsの違い

SDGsとESGは、これまで解説してきたような社会価値と経済価値の両方で企業の競争が行われる市場を創るという方向性は同じです。また、理念としても重なる部分が多くあります。しかし、企業が取り組む際にはいくつかの重要な違いがあることに注意が必要です。

SDGsは持続不可能な世界に対する世界的な危機感が背景にあり、国連の場で世界の193か国が合意に至った国際目標です。「誰一人取り残さない」という理念の下にあらゆる人と組織が実施者であり利益者であるとしており、全てのステークホルダーを対象に含むものの、その重点は主に消費者や労働者など大勢の人々にあります。

SDGsの求める共通価値の創出に向けて何をするか(Do)が重要であり、SDGsに取り組む企業の多くでは、経営のビジョン・戦略・計画として、トップである社長と経営層を中心に全部門によって検討されています。

一方、ESGは欧州による国際ルール形成や投資家と規制当局による企業の情報開示と社会的責任に対するプレッシャーが背景にあり、長年の投資家と企業の関係性の発展と社会的投資の流れに責任投資原則(PRI: Principle for Responsible Investment)という国連の動きが加わって主流化してきた新しい投資の方法です。対象は投資家及び投資環境をつくる規制当局に強く重点が置かれています。

ESGの求める非財務価値の観点で企業としてどうあるか(Be)が重要であり、ESGに取り組む企業の多くでは、外部から要求されている報告・開示・評価として、経営企画やIRなどの部署が専門的な仕事として対応しています。

実施者が覚えておくべきこと

実際にサステナビリティ・SDGs・ESGに取り組む企業がこれらを混同してしまうと、自身の行っている事の目的を見失ってしまうだけでなく、きちんとした成果を出すことができません。

とはいえ、正確に整理しながら取り組みを進めるのも難しいと思いますので、実施者にとって一つだけ頭に入れておくべきポイントをお伝えします。

それは、企業のサステナビリティへの取り組みをPDCAサイクルで考えた際、SDGsとESGでは「起点が違う」ということです。

SDGsは持続可能な世界の実現に向け、社会課題解決のために経営と事業を革新するための「計画」が起点となります。そこから今後の実行が始まります。

一方、ESGは、現在、自社の活動が外の世界に与えている影響を網羅的にチェックする「評価」が取り組みの起点となります。そこから今後の計画や実行へと繋がっていきます。

👉SDGs Eラーニング 応用編 「ビジネスパーソンのためのSDGs実践」