[DAY7]ではSDGsの社会構造化を引き起こしている背景にある大きな世界の動きを見てきました。

しかし、世界の潮流というのは自然に発生し、維持できるものではありません。そこには大勢の人々の意思と行動が不可欠です。

そもそも、なぜ人々はSDGsを解決したいと思うのでしょうか?

その答えは、とてもシンプルです。まず、例として次のゴール1から3の示している現在の世界の現実(課題)を見てください。

ゴール1:世界の10人に一人(8億3600万人)が、命を脅かす極度の貧困下で生活している。

ゴール2:毎年500万人の子どもが5歳までに死亡している。そのうち310万人は食べ物が足りないことによる栄養不良が原因である。

ゴール3:現代医学では予防・治療可能な病気とケガで、大勢の人が苦しみ、日々死亡している。

こうした事実を目の当たりにして、あなたはどう感じるでしょうか?

私たちは、一日に1万人以上の子どもが、予防・治療可能な病気・ケガや栄養不良で亡くなる世界で暮らしています。

これがもし、ご自身の子どもや家族だったら、と想像してみてください。

親や家族として、その子を食べさせてあげるだけの甲斐性が自分にないために、生きられるはずの子どもを死なせてしまうのです。

亡くなる子どもは本当に可哀そうですが、その親や家族も本当に耐えがたい、絶対に受け入れたくない思いをしながら一生生きていくことになります。

こうした事件が今日も1万回起き、そして明日も同じだけ起きます。それが、私たちの住む世界です。

「何百万人の餓死者が―」といったことを言われると数字が大きすぎて今一つピンときません。しかし、

「1万人の死亡者」とは、かけがえのない存在を失うという耐え難い体験が、1万回起きたということを意味します。

これをなんとかしたいと思う人々が世の中にはたくさんいます。あなたもその一人かもしれません。そうした世界中の人々の思いが繋がったものが、SDGsの根底にある人々の共感です。

東日本大震災や大型台風が直撃した時に、自分や家族の事だけではなく、ツイッターで危険情報を発信したり、お互いに協力し合ったり、多くの人が社会に参加した人が多かったと思います。多くの人々が感じた「この危機を皆でなんとかしなければならない」という一体感・連帯感、あるいは社会にバラバラに存在する個人の心が一つになった感覚というものが、SDGsの社会構造化を突き動かしている原動力なのです。

さらに、SDGsはそもそも共感を呼び込みやすい特徴を備えています。

SDGsが民間セクターで盛り上がり、企業にって最低標準装備になりつつあるのは、SDGsが社会構造化することにより企業を取り巻く環境に大きな変化が起きていることが原因です。そして、その根底には人々の共感があり、それこそが最大の原動力になっているのです。

SDGsを本質的に理解するには、氷山の一角として見えている表層的な事象のみに着目せず、その深層にある市場や社会構造の変化、そして人々の共感の広がりを含めたた全体像を理解することが肝要です。