SDGsによる企業価値の向上

サラヤ株式会社はSDGsが始まる以前から、自社製品である消毒液によりウガンダなどアフリカ地域における感染症予防に取り組んでおり、国連やJICAとの連携も積極的に行ってきました。

非上場の同族経営型の企業ということで、一般的な知名度では主要な大企業ほどではありませんでした。しかし、 トップの強いコミットメントにより、SDGsの分野では強いコミットメントを持って活動を展開しており、際立った存在感を示すようになりました。

外務省がジャパンSDGsアワードを開始した際には、第一回SDGs副本部長(外務大臣)賞を受賞しています。受賞の理由は次の通りです。

(1)貢献しているSDGs目標

3、6、12、14、15

(2)活動概要

ウガンダとカンボジアにて、市民と医療施設の2方向から手洗いを基本とする衛生の向上のための取組を推進。

「100万人の手洗いプロジェクト」として、商品の出荷額1%をウガンダにおけるユニセフ の手洗い普及活動の支援に当てている。また、ウガンダに「現地法人サラヤ・イーストアフリカ」を設立し、現地生産の消毒剤やその使用方法を含めた衛生マニュアルを提供。

持続可能なパーム油類(RSPO認証油)の使用や、アブラヤシ生産地の生物多様性の保全に取り組むと同時に、消費者へのエシカル消費の啓発を実施。

(3)SDGs実施指針における実施原則(本アワード評価基準)

普遍性:ウガンダにアルコール手指消毒剤を継続的に供給し、 東アフリカの衛生向上と共に雇用も創出

包摂性:「100万人の手洗いプロジェクト」を、ユニセフの支援を通じて実施

参画型:生活用水が不足しがちなアフリカ諸国に対して、アフリカ製アルコール手指消毒剤を供給

統合性:衛生への取組による多産から少子への移行、教育の機会確保、女性の社会進出というサイクルの実現

透明性と説明責任:ウガンダやボルネオでの取組をサラヤの 持続可能性レポート等で随時更新、公開

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/award1_5.pdf

上記に付け加えると、サラヤは、SDGsの示す根本的な課題に対処している点が優れています。

つまり、途上国において感染症を始めとした病気で亡くなる人々がたくさんいます。直接的に考えると、その解決策は病院、医者、薬等を増やす「治療」の方に向いてしまいがちです。しかし、実はその原因の多くは黴菌が付着した手でモノを食べたり扱ったりしていることにあり、消毒することで「予防」が可能だということを事業を持って示したことが革新的でした。

これらはSDGsという社会課題的な文脈で捉えなおすことで際立ってくる価値です。サラヤは「消毒液」という商品(ソリューション)を社会課題の中に位置づけることによって、自社の出せる社会的インパクトを最大化し、社会的・経済的な企業価値を飛躍的に高めました。