ゲスト:株式会社Medii代表取締役 山田 裕揮 さん
パーソナリティ:弊社代表パートナー 吉野 賢哉 / フリーアナウンサー 魚住りえ
1.オープニング・トーク
(魚住)
2030年の達成を目標に掲げられた持続可能な開発のための17個のゴールですが、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大によって解決に遅れが出る可能性があるそうですね。
(吉野)
そうですね、特に「貧困をなくそう」というゴールにおいては若者の6人に一人が職を失っています。また日本に関連深いのが「すべての人に健康と福祉を」なのですが、自殺の数が増えたり、児童虐待の通報数やDVの通報数も増えてしまっています。SDGsは遠い世界の環境問題のことではなく、今皆さんの目の前にある世界で起きていることを認識し、身近なところで声をかけたり手を差し伸べることだけでもSDGsへの貢献になることを意識してもらいたいなと思います。
2.サステナフォーカス
(魚住)
本日のゲストは、株式会社Medii代表取締役 医師の山田裕揮さんです。本日はよろしくお願いいたします。
2019年に設立されたMediiは、地域医療の専門医不足の解決を目指す医療スタートアップ企業です。山田さんはリウマチ膠原病の専門医で、ご自身も医学生時代に難病を患った経験があり、医師と患者、両方の視点でより良いサービス提供を目指しています。これまでに経済産業省主催のビジネスコンテストで優秀賞を受賞したほか、内閣府が主導する地方創生SDGs企業に選定されています。
まずは地方医療における専門医不足の問題とはどのようなものなのでしょうか。
(山田)
専門医は都市部に集まりがちで、地方にはリソースが足りておらず、自分自身が病気を患ったときに地方から遠方の都市部の先生の所に通わなければいけないということが実際にありました。このような問題に対し、医師のリソースの最適化ということで、何か仕組みを変えて取り組めないかというところから今の事業がスタートしています。
医師の専門性もかなり細分化されているなかで、それぞれの強みを生かしあった仕組みづくりというのが必要であると考えています。
(吉野)
専門医が地方に足りていないという問題に対し、Mediiではどんなことを手掛けているのでしょうか。
(山田)
E-コンサルといい、オンライン上で詳しい専門医の先生の知見を欲しいという先生が質問をして、知見を共有しながら患者さんに還元できる仕組みを作っています。
この仕組みづくりのきっかけとして、私自身が患者だった時の経験がやはり一番大きく影響しています。そして専門医として学んだことも、一人でできることには限界があるため、限られたリソースをほかの先生に共有することでより多くの患者さんが助けられるという可能性を信じてこの取り組みを始めました。
(吉野)
コロナ禍においてもこの仕組みが大きな役割を果たしたそうですね。
(田中)
そうですね、大きく2点あります。まず今までであれば患者さんの症状が専門外だった場合に専門医がいる病院に送るのが通常でしたが、それができない環境下になりE-コンサルが知見の共有に役立ちました。また医師同士においては人工心肺装置を取り扱う臨床工学技士の知見を届けられることで、コロナの重症患者に対応できるようになりました。
(魚住)
Mediiの2030年に向けてどんなビジョンを描いていますか。
(山田)
医師・病院・患者さんの構造が2030年に向けて大きく変化しています。特に地域医療構想や医師の働き方改革という視点で、潜在的なニーズがより明確化してくると思います。看護師や医療事務の方ができる仕事にタスクシフトしていくことで、医師の数に限りはありつつも医療は回るといった形で私たちの仕組みを通して最適化された仕組みづくりができればいいなと思っています。
3.クロージング・トーク
(吉野)
魚住さん、今日のゲストの山田さんのお話を聞いていかがでしたか。
(魚住)
患者目線で始まっているサービスなので、ニーズを確実にとらえたサービスですし、医師にとっても必要な仕組みだと感じました。
(吉野)
医療構造の根本的な在り方を変えられる仕組みですので、政府や自治体とのパートナシップもどんどん生まれていく領域になると感じました。
注:本記事は放送内容の完全な書き起こしではなく、必要に応じて要約や加筆・修正を行っています。また、敬称は省略させていただいています。
「SDGsティーチャー」は、TOKYOFMで2021年10月まで放送されたラジオ番組です。
同番組では、サステナビリティを実現し社会課題を解決するための活動を行っている団体 や企業からゲストをお招きし、そのきっかけや今後の目標についてお聞きしました。
AuDeeのラジオアプリからも、過去の放送をご視聴いただけます。
https://audee.jp/program/show/51837