ゲスト:メビオール株式会社 会長 森有一さん
パーソナリティ:弊社代表パートナー 吉野 賢哉 / フリーアナウンサー 魚住りえ

サステナフォーカス

魚住:本日のゲストはメビオールの会長で工学博士の森さんです。森さんが、開発したのは、安全で高栄養価の農産物を生産する農業技術「アイメック」です。「アイメック」は人工透析、人工血管、カテーテルなど医療用に開発してきた膜などの技術を世界で初めて農業に応用しています。海外では、温暖化による水不足、土壌劣化などに伴う食糧不足の解決策として期待され、中東、中国、ブラジル、などでも活用が始まっています。その画期的な技術は各方面で高く評価され、JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業に採択された他、国連の関連機関からは途上国が直面する課題に対して革新的な技術を持つ企業として、表彰されています。


吉野:まずは、アイメックについてその仕組みを教えていただけますか?

森:土と水の役割を別のもので替えられないか、というのが事業の大きな目的なんです。アイメックは透明のフィルムですが、ナノサイズの穴が無数に空いています。このフィルムの下に穴の空いたチューブを入れて水をちょろちょろ出すとフィルムの穴から水を吸いますが、穴が小さいので菌とかウイルスは入れないので、農薬なしでも病気にならないんです。フィルムは簡単に持ち運びできるので土地も使いません。

魚住:それだと出荷する直前までフィルムにつけておいて新鮮なまま届けられますね。

森:そうなんです。この技術は世界130カ国で特許を取っています。フィルムは石油からできてるんですが、石油も過去の植物なんですよね。つまり、過去の植物が未来の植物を育てているという物語なんです。そして、植物は体力を維持して抵抗力を高める上でものすごく大事なものなんです。

吉野:通常の農業と比べるとどれぐらいの水が節約できるのですか?

森:十分の一ぐらいですね。

吉野:これまでの常識を覆すものですね。農業への新規参入もアイメックを使うことでより参入し易くなりそうです。コストとしてはどういうものにどれぐらいかかるのですか?

森:露地でやると雨や風でなかなか良いものができないのでグリーンハウスがいりますが、水耕栽培よりもはるかにコストは安いです。日本ではいま150カ所ぐらいのグリーンハウスでアイメックを使ってトマトを栽培しています。アイメックは使い捨てで、土を耕すとか難しいことはしなくてもできますので、農業を全くやったことがないような若者が作っています。今の若い人たちは、ジュースやジャムに加工したり、売り方が非常にうまいですね。

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