魚住:若い人も抵抗なく農業に入れそうですね。メビオールを立ち上げてから20年以上が経つということなんですが、その間にも、今のコロナ禍のように私たちは様々な問題に直面してきました。森さんはいま、どんなところに関心をもっていますか?
森:この植物というのはすごい力をもっているんです。例えば、二酸化炭素を吸うので地球温暖化を緩和する、また、栄養があるので健康を保つ力を持っている。更に植物にいろんな医薬品を作らせることができるんです。今までは全部動物に作らせていたんです。抗体医薬をはじめ最近の医薬品はたんぱく製剤が多いんですが、化学反応でたんぱく質はできないので、どうしても動物に頼らざるを得ないんです。ただ、そういうものを動物に作らせると副作用が出たり、コストが非常に高いのですが、それに対して、植物は非常にコストが安いのと、植物から人間にうつるものがないので非常に安全なんです。薬を作るときに組成が複雑な土を使わず、水をコントロールできるので、安全性が高く、認可を受けるのも楽なので、最終的に抗体医薬を効率良く作るフィルムを設計していきたいと考えています。
吉野:いまドバイなどでも展開しているということですが、世界中が喉から手が出るほど欲しい技術だと思います。ものすごいビジネスチャンスがありそうですね。
森:そこは単なる技術で終わらずに人々の生活を改善できるようなところに持っていきたいが、こういう小さな会社で一番不得手なところなので、こういうことができると面白いよというようなサジェスチョンを頂ければ、非常にありがたいです。
吉野:最後に、森さんは、2030年に向けて、どんなビジョンを描いていますか?
森:私はずっとメディカルの領域でやってきましたが、やはり自分も人間です。今年で79歳なんですが、いろいろな故障が出てきます。若いころは何か貼ったりすれば治るんですが、なかなか治らなくなってきますので、この技術を活かしたいと考えています。それから年を取ると精神的な安堵感がものすごく必要になってくるんですが、そういう点で植物はすごく良いんです。
魚住:植物を育てていると精神的に安定するということですか。
森:はい。植物の栄養価を高くしたり抗体を作らせるなどハードで使うのと同時に、年をとればとるほど植物は癒しにになるので身近にあるとすごくホッとする訳です。そういう時にアイメックを使えば、例えば苔や植物の服とか、いろんな発想ができる。
魚住:ただ食べるだけでなく、健康やメンタルにも良い影響を及ぼしてくれるものだということがよく分かりました。「サステナフォーカス」今回はメビオール会長の森有一さんにお話を伺いました。森さん、ありがとうございました。
森:ありがとうございました。
注:本記事は放送内容の完全な書き起こしではなく、必要に応じて要約や加筆・修正を行っています。また、敬称は省略させていただいています。
「SDGsティーチャー」は、TOKYOFMで2021年10月まで放送されたラジオ番組です。
同番組では、サステナビリティを実現し社会課題を解決するための活動を行っている団体 や企業からゲストをお招きし、そのきっかけや今後の目標についてお聞きしました。
AuDeeやRadikoのようなラジオアプリからも、過去の放送をご視聴いただけます。
https://audee.jp/voice/show/34992