吉野:男女の仕事差という点で、女性の家事労働時間が男性の何倍かというデータもありますが、日本は女性が男性の約5倍家事労働をしていると言われています。(注:平成30年版男女共同参画白書概要版によれば、「6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間」の国際比較において、日本の男性が家事・育児関連に費やす時間は米英独仏等と比較して突出して低く、逆に女性は他国よりも長くなっています。)

吉野:家事というのは収入に繋がりにくいかもしれませんが、労働という意味では家の中で長時間している訳です。女性が家の中で労働をしてくれているおかげでパートナーの方が外で長時間労働ができるという側面もあるかもしれません。しかし、それは女性が社会でより活躍していく上ではマイナスと言えます。

魚住:はい、その時間を仕事に集中したいですね。

吉野:はい、こういう構造的な側面も非常に大きいと思います。ですので、女性登用ということで企業の管理職等のポジションに就いてもらってあとは「がんばれ」というだけでは解決しにくい為、産業界が全体として取り組んでいかなければいけない話です。

魚住:SDGsの取り組みというと環境保護というイメージがありますが、従業員の働く環境が整っていなければそれは「SDGsに取り組んでいる」とは言えないことになりますよね?

吉野:前提としてSDGsに取り組むことは大事です。SDGsは企業活動全般に関わることなので、すぐに全ての活動を変えるのは一朝一夕では難しいことだと思います。しかし、SDGsの1つのゴールに取り組んでいるからそれで良いかというとそうではない訳です。今すぐできなくても、将来的にこういう取り組みをしていきます、という計画を示すことはできます。今までのCSRは本業で儲けて、その儲けで社会価値の高いことをしましょう、という考え方が多かったのですが、SDGsでは本業そのもので社会価値を高めていかないといけない訳です。これができないとSDGsウォッシュという評価にもなりますので、本業・本丸をどうやって変えていくか、ということになっていきます。

魚住:本丸ごと変えていくというのはなかなか勇気がいりますね。

吉野:はい、しかし長期的にはリスクを減らしていくことにつながります。

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