ここまでのSDGs実践講座の内容から、SDGsやサステナビリティの潮流は、企業にとって生き残りと成長に関わる本質的な市場環境変化だということは理解していただけたと思います。

それらは長年かけて進展してきた社会変化の積み重なりの上に成り立っており、根底には世界中の人々の共感が原動力として広がっています。 SDGsが企業にとって重要な理由とは、その潮流が将来ビジネスセクターにおいて革命的なレベルの市場競争ルール変更を起こす力を持っており、既にその一端が見え始めているためといえます。

しかし、こうした潮流に対して企業が自社の取り組みを考える際、単に「市場環境変化に追いつこう」という姿勢では、うまくいきません。急速な変化の中ではまたすぐに置いて行かれてしまい、何度もキャッチアップする必要が生じる上に、常に後追いのポジションを強いられるからです。

ではどうすればよいのでしょうか?

それは、世界や市場の変化を先回りする姿勢を持つこと、つまり、「SDGsの潮流は、一体どこへ向かっているのか?」を理解することです。

SDGsの潮流の向かう先とは、経済価値と社会価値の両方によって企業や商品の価値が定義され、競争が行われるという、持続可能な世界のための市場の創造です。

経済価値のみで競争が行われる市場では、企業の活動が活発になるほど社会は負荷を負うことになります。例えば、より多くのゴミや二酸化炭素を出し、エネルギーや資源を使うことにより、顧客にとってより低コストで高品質の製品やサービスが提供できるならば、企業にとってはそれが最適な戦略になってしまいます。

この状態は、企業と社会が「トレード・オフ」の関係にあります。どちらかが得をすれば、どちらかが損をする関係です。こうした市場システムは、経済活動の活発化とともに環境や社会への負荷が積み上がり、いつかは境界線へと達してしまう「持続不可能な世界」が前提となっています。

SDGsの潮流は、「持続可能な世界」を前提とし、企業の活動と社会の発展を「トレード・オン」の関係にする市場メカニズムを実現する方向へ向かって、人々の価値観や規制の変化を促しています。

こうした視点で日々テレビ、新聞、インターネットなどで入るSDGsやサステナビリティに関する個々のニュースを見ると、点と点の繋がりが見えてくると思います。そして、次に何が起こるか、自社は何をすべきかについてのイメージが鮮明になってくるはずです。