DAY24で解説したESG対応を先行させ、後からSDGsを紐づける方法は、ESG評価の観点からは(少なくとも現在は)高く評価されています。しかし、ESG評価の向上を目指したSDGsの導入は、持続不可能になってしまった世界を持続可能に変えるための人類と世界の挑戦というもともとの意義を大きく外れ、ESG評価で高得点をとるための単なる「報告書作成のテクニック」となってしまい、いわゆる“SDGsウォッシュ”を誘発させてしまいます。自社のSDGsの導入が次のような状態に近いと感じたら、そのような状態に陥っている可能性が高いと言えます。
1 後付けになってしまっている
ESG対応で出てきた重点課題がSDGsのどのゴール・ターゲットに貢献しているかをアピールしているだけで、SDGs自体は重点課題を決める要素としてはほとんど影響していない。または、もともと自社が扱っていた製品・サービス、行っていた事業・CSR活動等にSDGsのラベルを貼っただけになっている。
2 言葉だけが躍っている
中期経営計画や年次報告書などにSDGsに関連する言葉が並んでいるだけで、具体的な社員の行動や自社の事業にはほとんど変化がなく、多くの社員にとって実感がない、またはそもそも認知していない。CSRやコンプライアンスのようにとりあえず形だけ対応しておけば良いものと考えられている。
3 見せ方だけを整えている
投資家や消費者からの要求にとりあえず応えるために一通り見た目を整えただけで終わっている。評価要素として良さそうな語句、文章及び図表等をたくさん並べているが、いかに自社を良く見せるかという広報やブランディングに注力しているのみで実態が小さい。ウェブサイト、中期経営計画、統合報告書等の中のデザインや表現のテクニックの工夫ばかりが先行している。