SDGsの少し前、環境配慮、ISO、サステナビリティが企業に求められ始めた頃、市場競争ばかりを追い求め、製品・サービスの品質向上とコストダウンだけに注力し、大量のエネルギー消費や膨大なごみとCO2の排出には無頓着な企業による環境イメージの大げさな誇張行為は、”greenwashing(グリーンウォッシング)”と呼ばれ、世界中で揶揄されていました。

現在、同じことがSDGsでも起きており、SDGsに実際は取り組んでいないにもかかわらず、対外イメージだけ過剰に演出する行為は、”SDGsウォッシュ”という言葉が聞かれるようになりました。

その典型例は、残念ながらほとんどの企業がやっている「SDGsの17ゴールのラベルを自社の製品・サービスに張り付け、それを対外公表して終わる」という”SDGsラベル張り”活動です。

SDGsを機に企業を取り巻く環境は変化してきており、周囲からの見られ方が変わってきているのは確かです。そのため、「ウチの会社はSDGsちゃんとやってますよ!」とアピールするのは一見企業にとって理にかなった行動のように思えなくもありません。

しかし、SDGsウォッシュは決定的にダメな施策と言い切れるものです。なぜダメなのか、その理由は次のとおりです。

1 社会に変化が全く起きておらず、本質的に無価値

自社の製品・サービスにSDGsのラベルを貼っただけなので、製品・サービスそのものには何の変化もありません。そのため、 自社の製品・サービスを良く見せているというだけで、 社会に対しても顧客に対しても何一つ新しい価値は産み出していません。つまり、SDGsの達成には何ら貢献をしておらず、本質的に意味のない活動になります。

2 変化を阻む自己肯定・自己満足になっている

SDGsは非連続的な未来を想像することにより、自力では難しい企業の自己変革を促すものです。SDGsの活用に優れた企業は、SDGsを以前からやりたかった改革を進めることに使っています。一方、自社の製品・サービスにSDGsラベルを貼っていくという行為は、現状を追認することになり、「現在うまくやっている」、「このままで良い」といった雰囲気を社内に醸成し、改革と逆方向に進む力となってしまいます。

3 表面的なキャッチアップなので、すぐに置いて行かれる

SDGsウォッシュを行う企業は外部の目だけを気にします。しかし、外部による評価基準は時と共に変化していきます。SDGsの本質を理解せずに単に現在の見られ方を最適化しているだけでは、外部が変化した時にすぐに取り残され、変化のたびにキャッチアップをし続けなければなりません。また、変化の表面しか見ていないので、なぜ変化しているのかが分からず、いつ変化するかどう変化するかが読めずに常に後追いのポジションを強いられます。

4 良く見せたい相手に見透かされている

そもそも”SDGsウォッシュ”という言葉が一定程度認知されているということは、SDGsウォッシュ的な取り組みは既に見透かされているということです。製品・サービスにSDGsラベルを貼っても顧客や株主は騙されませんし、社員となればどんなに耳障りの良いことを言ったり行ったりしていても、会社の本質はすぐに見抜かれます。外部に良く見せたいがために行っているSDGsウォッシュは、「良く見せようとしているのだな」としか評価されないのが現実です。

上記の通り、SDGsウォッシュは社会にとっても自社にとっても全く利益の無い行為なので、今すぐやめることをお勧めします。

なお、 自社の既存の製品・サービス等をSDGsに当てはめて対外公表して終わるのではなく、その分析から新たな取り組みを産み出しているのであれば”SDGsウォッシュ”とは呼ばれません。

自社の製品やサービスにSDGsラベルを貼っていくという行為そのものがダメなのではなく、現状整理をして、その結果を対外的に広報して終わってしまうことが問題なのです。