担当窓口の意義

 現在「さがみはらSDGsパートナー」として596の企業・団体が登録し、市と連携して活動しているが、そのポイントについて聞くと、SDGsに関する担当窓口があることが大きいという。

「企業や団体から声かけをしてもらえるのは自治体としてすごくありがたいことです。これまでは、自治体として企業や団体とつながるのは補助金支給などの事業・部署に限られていましたが、SDGsは福祉や環境など様々な企業・団体がアプローチしてくれます。ここに相談すれば直接でなくても関係部署に紹介してもらえるということが浸透してきました。SDGsは全てに関わるのでまず一義的に話を聞ける部署があったことで、いろいろな企業・団体とつながることができました。」

 また、相模原市は多くの企業ともパートナーシップを進めているが、企業を巻き込むポイントとして榎本さんは次のように言う。

「企画と実践については、市だけで考えるのではなく、企業や団体とディスカッションをしながら進めることを心がけています。また、自分が主役になっていろいろと取り仕切るのではなく、企業や市民の方が主役になるよう意識しながら、行政として色々な制約があるなかで、「どうやったらできるのか」というのを常に考えています。」

 具体的な事例として、相模原市にあるジャパンSDGsアワードを受賞した日本フードエコロジーセンターとの連携がある。相模原市では同社や旅行会社と連携して、市内在住の子ども向けに楽しみながら循環型社会や再生可能エネルギーについて体験を通じて楽しく学べる「さがみはらSDGsまなべるトラベル」というバスツアーの企画を行っている。

 フードエコロジーセンターの工場で賞味期限切れ前に廃棄された食品を目の当たりした際「これだけ多くの食品が廃棄されているのはまずい」と思った経験から、同ツアーの工場見学でそうした様子を見てもらうことで「生徒さん達にもいろいろと感じてもらえるのではないか」という。先述のゲームでSDGsの入口としてSDGsの意味合いや世界で起きていることなどを学んでもらい、こうした学習ツアーで、SDGsを自分事に変えていってもらえたらという。

フードエコロジーセンターの様子

 今回はモデルツアーとして企画しているが、狙いとしては、将来的には旅行会社に地域の山林活用や地元企業への視察などの学習ツアーを企画してもらい、市外からも参加してもらえるようになることを期待しているという。

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