魚住:日本茶のサービスではなくコーヒーに目を付けたのはなぜなのでしょう?

大久保:私が26~28歳にかけて欧米のの流通企業でいろいろと勉強をしてましたが、日本ではほとんどのオフィスがお茶かせいぜいインスタントコーヒーの時代で、お茶汲み全盛の時代でした。この事業に取り組み始める数年前にちょうどマクドナルドさんが銀座に一号店を作って大繁盛しまして、特に若い人たちがインスタントではなくレギュラーコーヒーをどんどん飲むような時代になってきたんで、これからはオフィスでもお茶とかインスタントコーヒーではなくてレギュラーコーヒーならいけるんじゃないかと、取り組み始めました。

魚住:50年前から今で言うサブスク、あるいは、リースという新しい考え方で始められた訳ですね。

大久保:はい、このビジネスは業務用のコーヒーの機械をお客様に貸し出しするんですね。お客様とは年間契約を結んで、消耗品としてのコーヒーをお届けして、今で言うサブスクのような契約をずーっと積み上げてきました。今から50年前はサブスクなんて言葉はなかったのですが、結果的にはそのようなビジネスが始まったということになりますね。

魚住:これはSDGsの観点からはどのような価値があるんでしょう?

吉野:サブスクやシェアリングというのはSDGs的にも非常に親和性が高い概念ですね。シェアリングは、コーヒーマシンだけではなく家、車、自転車、駐車場など、いろいろなものがシェアされるようになっています。シェアすることで製造や物流などのコストは下がりますし、環境負荷も軽減されますので、環境にも優しい考え方ですね。シェアリングによって社会の中でお互いに支え合うという感覚から得られる精神面のメリットもあると言われています。

大久保:私どもも普通のコーヒーメーカーではなくて業務用の高額な機械をお客様にお貸し出ししますので、それを末長く使って頂くために定期的にメンテナンスをする、部品の交換をする、そういうことでもって機械を大事に使って頂くことを前提にビジネスをやっております。

魚住:コーヒーだけじゃなくてお水とか他にもモップやマットなども全てリサイクル・リユースをされているということですね。

大久保:私どもは基本的にリサイクル・リユースすることを前提にサブスクの契約を行います。水であればワンウェイのボトルは使いません。全て業務用の冷温水器を貸し出しして、それに使う水もボトルに入れてお客様にお貸し出しします。空になったボトルは引き揚げてリユース・リサイクルして、またお届けするということで、非常にお客様に環境負荷が少ないビジネスを積み上げているということです。マットとかモップも使い終わったものを、1,2週間で引き揚げて私どもの工場できれいにして、それをまた加工してお客様にお届けするということで、これも末長く使っていただくリサイクル・リユースのビジネスの積み上げです。

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