ゲスト:inaho株式会社 代表取締役 菱木 豊さん
パーソナリティ:弊社代表パートナー 吉野 賢哉 / フリーアナウンサー 魚住りえ

1.サステナフォーカス

魚住:本日のゲストは、inaho株式会社 代表取締役 菱木 豊さんです。
 2017年に設立されたinahoは、鎌倉を拠点にした会社で世界初のアスパラガスやキュウリ等を自動で収穫できるロボットを開発。人の判断が必要な農作業をAIとロボティクスでサポートすることで、農業の経営課題の解決を目指しています。
 新しいロボット産業の発展のモデルとして「第9回ロボット大賞」農林水産大臣賞を受賞したほか、令和3年度の農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」に採択されるなど、高く評価されています。

吉野:まずは自動収穫ロボットのしくみをご紹介いただけますか?

菱木:弊社のロボットにはカメラとかセンサーがついていて、今まで人が目で見て判断するしかなかったところをカメラやセンサー、AIで認識して採っていくということをやっています。例えばトマトだと、赤さで収穫するかしないかの判断をしていくのですが、ロボットがその赤い色を見て自動で採っていきます。

魚住:ホームページを拝見したのですが、ロボットが収穫していくところがかわいいですね。きれいにかごに入れ、それを外に出していく。夜中にも働いて、なんかいじらしい感じがしました。笑
今はアスパラガスときゅうりに絞ってやられているのですか?

菱木:今はアスパラガスとトマトで、きゅうりは試験的にやっています。いろいろな野菜があるんですけど、我々はアスパラやトマト、きゅうり、ピーマン、ナスとか人が目で見て収穫適期を判断して手作業で収穫する選択収穫が必要な野菜に特化してロボットの開発を進めています。ロボットはイチゴとかトマトは色で見ますが、きゅうり、アスパラ、ピーマンはサイズを認識しながら採っています。

吉野:今まで全て人がやらなければいけなかったことをロボットがやってくれるんですね。

菱木:はい、よく労働集約的な作業と言われますが、手作業だと暑い時期とかハウスの中は外気温よりも暑くなって40度とかなりますから本当に地獄のような世界でやることになります。ですので、暑くならない朝4時とか夕方以降とかでないと肉体的負担が大きくてできないんですね。農業は3K(きつい、きたない、きけん)というように思われるんですけど、やっぱりそういうところを変えていかないと後継者が誰もいなくなってしまうということになりかねない。そうすると僕らも食べるものがなくなっちゃう訳です。

吉野:確かにそうやって作ってくれる方がいて、はじめて美味しく、美しい野菜が食卓に並ぶわけですが、作る方が少なくなっているんですね。

菱木:そうなんですよ。農家の方の平均年齢って67歳なんですね。なんでそこまで上がるかというと若手がほとんどいないからなんです。全体で百何十万人とか農家さんいる中で50歳未満が十数%とかなんですよ。一般的には70歳になると引退していくと言われているので、平均年齢が毎年のように上がっていっているんですね。ですので、平均年齢が70歳を越えると一気に離農する人が増えるということが見えている状況ですね。

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