吉野:今はどれぐらいの農家さんがロボットを活用されているのですか?
菱木:昨年は10件ぐらいの農家さんに実際にお金を頂戴しながら利用して頂いています。今年は大きなバージョンアップを今しているところで、今香川県とか新潟県でテストをしています。最初は佐賀県でスタートしましたが、いま取り組んでいるところとしては、野菜の作り方から変えていくということを国の農研機構という研究機関と一緒にやったりしています。例えば、アスパラガスは土を15cmぐらいまで盛り上げた畝で栽培するんですが、「髙畝栽培」といって50cmぐらいまで高さを上げる形式を研究しています。栽培できる野菜は様々ありますが、一反歩(約300坪)に1人必要と言われているのですが、栽培形式を変えることによって、七反を2人で収穫から管理までできるんです。更にそのやり方にすると農薬や化成肥料の使用量も大体三分の一ぐらいに抑えられるんです。我々は今後サステナブルな世界を作っていくのは絶対こっちだと思って、この新しい方法に合わせたロボットを作っています。ロボットができると七反ではなく十四反ぐらいを2人とロボットで行けるという試算をしています。これができるとかなり変わると思います。
吉野:脱サラして就農される方も十四反栽培できると収入も増えますよね。
菱木:所得ベースで一千万円ぐらい狙えるようになると思います。
魚住:ちなみに、60代、70代の方にこういう話をすると「ロボットじゃなくて人じゃなきゃだめなんだ」みたいなことを言われたりしませんか?
菱木:そういう質問をよく聞かれるんですけど、収穫する作業は誰がやってもクオリティは基本的に変わらないんですよね。なので、そういう部分は自分たちがやらなくてもいいんだったらすごく助かると言われることが多いです。より美味しく良い野菜を作るために、水の量とか肥料の種類とかそういったところを考えるのは農家さん自分で頭と時間を使って考えたいところだったりするんですけど、単純作業は代わりにやってくれるものができるんだったら、ありがたいという声が多いですね。
吉野:いまはAIで水や肥料の量とかも管理できると思いますが、農家さんはそういう部分は自分でやりたいんですね。
菱木:そういう方もいますね。やはり自分なりのレシピというか肥料自体を自分で作るというような方もいらっしゃって、いろいろ考えどころな部分ですね。ただ、世の中的には水や肥料もAIで管理できるという流れもありますので人によってさまざまですね。