吉野:離農に関しては、過去5年間で22万人も減っているというデータもありますが、離農の理由はやはり年齢ですか?

菱木:年齢が高くなって辞めていく自然減が一番大きい理由だと思いますけど、あとは新規に就農する方も農業だけでは生活が成り立たないので辞めていくという方も結構います。

吉野:新規就農に関しては、inahoでは「inahoの穂」という二泊三日で農家さんの仕事を研修という形で受けられる新規就農応援プログラムをやられていますね。

菱木:はい、やっぱり最初に誰から学ぶかが結構重要なんです。農家さん達がどういう利益構造を持っているのか、ちゃんと儲かっているのかっていうのをやっぱり最初誰から学ぶかで、その先の目標設定からやり方や考え方まで変わってきます。僕らが講師をお願いしている方々は、自分たちで脱サラして新規就農した人たちで成果が出て儲かっている方たちです。この方々の下で学んで頂いて、継続的にやれる体制を作るために自社でやっています。

吉野:既に成功している方々の下で指導を受けてその通りにやれば成功する可能性が高くなるということですね。年間スケジュールや収支プランなども教えて頂けるので、未経験の方もプランが立て易いですね。

菱木:はい、いろんな就農の仕方があると思います。例えば、大きな農業法人に入るという方法もあると思うんですけど、そうすると全体の作業の中で一部の作業にどうしても特化するようになってしまい、全体が分からないという方もいたりしますので、お金の部分から全体をきっちりと把握していただく上で大事なのが一番最初のインプットかなと考えています。

魚住:元々inahoを立ち上げたのはどういう理由なんでしょう?

菱木:私自身は元々農家とかロボットエンジニアという訳ではなくて、最初は調理師学校に行って調理師免許をとったんですが、8年ぐらい前にAIの勉強をしました。今後世の中の動きを変えていくものとしてAIが間違いなく来るなと思ったときに、AIを使って何かできないかなと一年ぐらい模索していました。その中で、たまたまアメリカでレタスを自動的に間引くロボットがあることを知ったんです。それを僕が済んでいる鎌倉の農家さんに見せたら、「菱木さん、レタスを間引いている場合じゃないです。うちの雑草を何とかしてくれ」って言われたんですよ。で、どういうことだろうと思って、雑草をとるのがどれぐらい大変かを体験させてくれって言って実際に畑に行ってやってみたら、これがメチャクチャきついんですよね。本当に暑い中、どれが野菜でどれが雑草かを見分けて手で取っていくんです。

魚住:ひざを曲げてですね。それはきついですね。

菱木:そうなんです。それをやっている時に思ったのが、これAIで野菜か雑草かって見分けることはできるぞと思いついたんですね。あとはそれを採るロボットがあればできるんじゃないかと思ったのが最初のきっかけです。それでいろんな農家の人と話をしている中で、「菱木さん、雑草採っている場合じゃないです。うちのアスパラ採ってくれないですか?」という話を頂いたんです。それでまた実際に畑に行ってやってみたときに、雑草は週に一回とか二週間に一回のペースなんですけど、野菜だと毎日採っているんですよ。なので、こっちの方がよっぽど負担が大きいなということで、野菜を採るロボットを作るようになっていって今に至っています。

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