吉野:日本の子どもは7人に1人は相対的貧困にあると言われています。ですから30人のクラスだとしたら、4人ぐらいの生徒さんは生活が苦しい状態にあるということです。
魚住:そういう子ども達は、具体的にどんな問題が懸念されるんでしょうか?
吉野:例えば、教育面では塾に行けなかったり、勉強や部活に必要なものが揃えられなかったりということが出てきます。また、シングルマザーのご家庭は貧困率が高く、約半数が相対的貧困にあると言われています。これに対して成人が二人以上いる場合は約10%です。
魚住:やはりお一人で育てているとどうしても苦しくなりやすいんですね。そうなると精神的に追い詰められて家庭内暴力とかにもつながったり、勉強の意欲が下がって成績の格差が広がって、学校の選択肢が狭まったりすることで違う道を選ぶということにもなり易いかもしれませんね。
吉野:はい、貧困の連鎖と言われる状態ですね。親御さんが経済的に苦しいと、お子さんが良い教育を受けにくくなり、そうすると良い就業がしにくくなり、収入が高くなりにくい、という連鎖が起き易いと言われています。
魚住:一人当たりの収入が減ると、大きくみると国の税収も減ってくるわけですから、自分事として捉えないといけないですね。
吉野:はい、自分事として捉えるということが非常に重要です。
魚住:日本では、貧困をなくすために、どんな取り組みが行われているのでしょうか?
吉野:政府も当然この大問題を認識していて、「子どもの貧困対策に関する法律」が2013年に制定されています。「教育の支援」、「保護者の就労の支援」、「生活の支援」、「経済的な支援」の4つを柱に、国と地方自治体が貧困をなくそうとしています。「子供の貧困対策に関する大綱」というのも制定し、幼児教育・保育が無償化になっています。また、年収590万円未満の世帯も私立高等学校授業料の実質無償化となっています。また、マザーズハローワークという一人親の方向けの就労支援などもされています。
魚住:既に様々な取り組みがされているのですね。
吉野:はい、「子供の未来応援国民運動」というものもあって、とっても可愛らしいサイトで、企業と草の根で子どもたちを支えているNPOとのマッチングや広報活動など様々なことをしていますので、是非見てみてください。
また、NPOなども様々な活動をされています。例えば、キッズドアは無料の教育支援として、タダゼミという中3の生徒さん向けに高校受験対策講座をしています。