グラミン日本は、シングルマザーやワーキングプアの方を対象に生活支援ではなく、5人一組の相互扶助グループに対して融資と起業・就労支援をセットで提供しています。上限20万円ぐらいで、低金利、無担保で保証人がいなくても借りられます。グラミンはアメリカでもこうした取り組みを行っています。最近は企業も活動が活発になってきています。SAPというビジネスプロセスのソフトウェアを提供している会社は、グラミン日本と一緒に生活困窮者と企業のジョブマッチングのサイトを立ち上げています。これは仕事を探し易くするサービスで、グラミン日本の活動に賛同している企業の求人に限定して、シングルマザーやワーキングプアの方とのマッチングを支援しているんです。シングルマザーの方がスキルトレーニングや学歴で苦労されている場合に、スキルを高めて即戦力になる支援を企業とNPOが一体となって提供しています。

貧困というのは実は経済的に困っている隣の人だったりするわけです。隣に困っている人がいたらちょっと助けたくなりますよね。

魚住:はい、私も「遠くの親戚よりも近くのお隣さん」、ということをよく言っているんです。

吉野:そうですね。周りにいる人をちょっと助けましょう、という感覚が大事だと思います。昔は醤油がなかったらお隣さんからちょっと借りることがあった、ということを聞きますが、ああいう感覚かと思います。

魚住:一戸建てだと回覧板を持って行ってとかし易い気がしますが、都会になればなるほど人間関係が希薄になっているかもしれませんね。

吉野:コロナで在宅勤務やオンラインで仕事をするようになって、一層難しくなっていますね。職場においてもオンラインだと精神的に辛くても分かりづらくなっていると思いますし、今まで以上に良い意味でのお節介ができると良いですね。

魚住:最初は入ってこないで、と思うかもしれませんが、普通になってくるとご近所づきあいって楽しいですよね。私もそれこそトマトを頂いたらお隣さんのところにピンポンしに行って、どうですか?みたいなことをしています。笑

吉野:良いですね。マザーテレサも、愛の反対は憎しみではなく、無関心である、と言っているように、まずは関心を持つことだと思います。身近な問題から、どうなっているんだろう、ということでちょっと検索してみると、そこからできることが広がっていくと思います。例えば、自分の共感できる活動をしている団体に千円でも寄付してみるとかですね。千円寄付したら、自分の千円がどう使われているのかと気になって活動報告とかをみるようになって、段々と情報が入って実態が分かるようになってきて、こんなこともできるんじゃないか、ということでドンドン広がっていくと思います。企業にお勤めの方であれば、自社の資産を使ってNPOと連携して何ができるかをまず考えて、その議論を始めたら最初の一歩になります。プロボノと言われる、公共善のために自分の持っているスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動がありますが、まず自分の持っているものを活用していきましょう。

魚住:スキルなんてないよと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことないですよね?

吉野:普通にお仕事をされているというのは、健康で、企業活動を通じて社会に貢献して、一定の収入があるということなので、すごいことです。誰にでも何らかの貢献ができる部分が必ずあると思います。例えば、サービスグラントという、期間限定のプロジェクトでできるプロボノを紹介しているようなサイトもあります。平均週5時間ということなので、一日一時間ぐらいの活動から始められます。

魚住:それは敷居が低いですね。一日一時間なら自分の時間を割こうと思えますね。

吉野:はい、今までテレビを見ていた時間をそういう活動に使うなど、気軽にできることからスタートするのがポイントかと思います。


注:本記事は放送内容の完全な書き起こしではなく、必要に応じて要約や加筆・修正を行っています。また、敬称は省略させていただいています。

「SDGsティーチャー」は、TOKYOFMで2021年10月まで放送されたラジオ番組です。
AuDeeやRadikoのようなラジオアプリからも、過去の放送をご視聴いただけます。
https://audee.jp/voice/show/34496

1 2 3