魚住:世界の中で日本は、「質の高い教育をみんなに」という目標を達成できている方なんでしょうか?

吉野:2020年のSDGsに対する各国の達成度合いにおいて、日本は総合で17位。中でも教育は「達成できている」と評価されているのですが、日本国内の「教育」の中身を見ていくと結構課題があって、特に大きなところはジェンダーのところです。ジェンダーについては、以前この番組でもWaffleの田中さんに来ていただいた時にも話しましたが、日本はジェンダーギャップが世界の中で総合で120位、教育分野では92位です。

魚住:ショックでした。

吉野:その田中さんが日本のジェンダーギャップの理由として二点仰っていたことは、一つがジェンダーバイアスで、「女の子だから○○をすべき」、という社会からのバイアスですね。もう一つはマイノリティになりたくない、という女の子自身の主観的な考えですね。

PISAという、OECD加盟国を中心とした15 歳の生徒の読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーなどの学習到達度を調べるテストがあります。その中で「ICT関連の職業に就くこと」に対する期待度合いなども調べていますが、「期待している」と答えた日本の女子高生の割合は3.4%と、63カ国中で最も低かったんです。

魚住:少ないですね。

吉野:はい、高校生の時点で日本と他国で大きな意識の差が出ている訳です。もしIT人材が社会に溢れていればこうしたことも問題ではないかもしれないのですが、経産省によると日本のIT人材は2030年に80万人不足すると言われていますので、国として必要なのがIT人材です。

魚住:そうですね。例えばインドとかIT人材がすごく多いので、国内で育てていかないとですね。

吉野:こうした状況において、どういう施策を打っていくのかを皆が考える必要があります。会社であれば全社戦略があって、それを実現するために必要な人材の定義があって、そういう人材を育成・採用するために何をしていくというステップがありますが、IT人材の育成もこうしたステップを強化していく必要があります。

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