吉野:我々が個人としてできることとしてまずは寄付があると思いますが、それ以外にはどんなことがありますか?
駒崎:企業、NPO、自治体だけではなくて、我々一人ひとりができることって小っちゃいようでとっても大きい話なんです。一人ひとりが声を上げていく、そしてそれをみんなが知っていく、そしてそれが大きなうねりになって企業を動かし、国を動かすという風になっていくんですよね。だから、出発点は個人だったりするところがあるんです。また、企業や自治体の中にも個人がいて、その個人が「ああ、なんとかしなきゃ」って思うことで政策が動いたり、企業で新商品が生まれたりとなっていく。じゃあ個人は何ができるかというと、どんなに小っちゃなことでも良いんです。例えば、SNSで取り組みをシェアして社会はこうやって変えていけるんだということを伝えていく、あるいは、不正義や良くないことがあったら「これって良くないよね」ということをちゃんと声を上げていく。こうしたことが世論を作っていき、何かを変える原動力になっていくと思うんです。ですから、まず知る、近しい人に知ってもらう、ここから始めても良いんじゃないかなって思います。
吉野:個人で何かをしなきゃって思っても、自分に何ができるんだろうっていう心のハードルがありますが、いきなり大きなことをしなくても良いということですね。
駒崎:はい、どんなに大きなムーブメントも最初は1人の人が知るっていうところから始まっているんですよね。だから一人の力って小さいよねとか言われるんですけど、微力ではあるけれど無力ではないんですね。ここは大きな違いだと思います。微力が集まればそれは大きな力になってくると思いますので、是非小さくても声をあげて頂きたいなって思います。そして、もっとしたいってなったら、例えばネットの署名キャンペーンに参加するとかクラウドファンディングで寄付をしてみるとか、更に次のアクションにいって頂いて、そうやってちょっとずつ前に進んでいって頂けたら、世の中って少しでも良い場所になるんじゃないかなって思うんですね。
魚住:家にいてもできますし、「私なんか」って思わずに一人ひとりができることが積み重なって国を動かしていくことができるということですね。駒崎さんは2030年に向けてどんなビジョンを描いておられますか?
駒崎:このコロナ禍を乗り越えて我々はもっと良い国、良い社会を作れるという風に信じています。コロナ禍でたくさんの亡くなっている方々や重症の方々がいて、本当に我々にとって試練だと思います。しかし、これによってオンラインでのミーティングが一般化したり、より高い公衆衛生意識や医療の仕組みを作っていこうという原動力になっていくはずです。オンラインでのミーティングがもっと盛んになれば、身体に障がいのある人がもっと働きやすい社会になっていくでしょう。また、例えば国会や行政がオンライン化されていけば、今までは政治への距離が非常に遠かったけれども、オンラインで投票ができたり会議が見られたりして、もっとみんなが政治や民主主義に参加できるようになると思うんですね。こうした形でピンチなんですけれども、それをチャンスに変えていくということをしていければ2030年にはもっと透明で情報公開もしっかりされてみんなが社会に参画して、出番があって、居場所があって、そしてみんなで社会を良くしていこうというオールジャパンの体制を作れるんじゃないかと信じています。今が分岐点だと思います。そういった良い社会を作れるようになるかもしれないし、コロナに敗北してこのまま国力が落ちていって、衰退していくっていう道を歩んでいくこともできると思うんです。そのどっちを選ぶのかというと、我々が今、それを選択する時期なんじゃないかなって思っています。
吉野・魚住:どうもありがとうございました。
注:本記事は放送内容の完全な書き起こしではなく、必要に応じて要約や加筆・修正を行っています。また、敬称は省略させていただいています。
「SDGsティーチャー」は、TOKYOFMで2021年10月まで放送されたラジオ番組です。
同番組では、サステナビリティを実現し社会課題を解決するための活動を行っている団体 や企業からゲストをお招きし、そのきっかけや今後の目標についてお聞きしました。
AuDeeのラジオアプリからも、過去の放送をご視聴いただけます。
https://park.gsj.mobi/program/show/51837