魚住:私の中で響いているのは体の中に取り入れるだけじゃなくてバイオ燃料ですね。当初からミドリムシがバイオ燃料で地球を救うって言われていたので、そのことについてもお話を伺えたらと思います。

出雲:僕も実はバイオ燃料にしようなんてまったく考えてなかったんですよ。最初は知らなかったんですけど、ミドリムシって実はいろんな種類がいるんですね。

それで私はいろんなミドリムシを集めてきて、いま100種類ぐらいあるんですけど、これはビタミンCたっぷりだなとか、この子はカルシウムが多いねとか、食物繊維がたくさん入ってるからそういう使い方をしようとか、そうやってミドリムシの身体測定するっていうのが研究のスタート地点なんです。

そういういろんなミドリムシコレクションをしているときに、あるときちょっとポッチャリちゃんがいたんですね。大きくてぷよぷよしているポッチャリさんにビタミンCが百倍入っていますとかだったら、この子はすぐデビューだと思っていろいろ調べたんですよ。

そうしたらこの子大きいんですけれども、油しか入ってないんですよ。油は食用には全然使えませんから、あー、この子はちょっと外れだなと。油しかないからこの子はデビューは無理だなっていうことでずっとしまってたんですよ。

そうしたら、CO2削減の流れの中で、バイオ燃料を研究しましょうということでいろんな企業や大学が取り組んでいますが、そういう取り組みの中であるときバイオ燃料を作ってみよう、という話になったんです。バイオ燃料は油が必要なので、昔いたポッチャリちゃんをもう一回引き出しから出して調べてみたら、これが良い油なんですよ。

油としてすごく良い炭化水素なので、この子はジェット燃料になるんじゃないですか、っていうことが分かって。そうしたら今までこの子はデビューできないなんて失礼なことを言ってすいませんっていうことで、今では地球を救うヒロインですよ。

吉野:その時に100種類のミドリムシを研究していなかったらそのまま日の目を見なかった訳ですね。

出雲:そうですね。ですから私は本当にすごく反省しているので、会社経営でも絶対に忘れないようにしようと。私がいまこの時点で、この人にはあまり才能ないなとか、世の中に役立つ技術があるかないかというのを他の人が勝手に思い込みで決めてしまうと、その人本来の可能性が見過ごされてしまったり、輝かなかったりする。それは会社で言ったら全部私のせいですよね。

ですからどんな人にも素晴らしい個性と才能があるっていうことを僕はミドリムシで心底理解しましたし、納得しましたから。僕は最初そのポッチャリちゃんをはカルシウムも何もないからダメだと思っていたんですけれども、今はもうバイオ燃料としてはスーパースターですから。こういうことがあるんですよ。

だからいろんな人のいいところ、可能性に必ずフォーカスする。この子はビタミンがないからダメだじゃなくて、どういう切り口だったら輝くのかを考える。これはミドリムシでも会社の経営でも同じぐらい大事だと思うんですよね。

魚住:SDGsの取組と深い関わりを持つユーグレナの取組について、更に伺うため次回も出雲さんにご登場頂きます。出雲さん次回もよろしくお願いします。

出雲:よろしくお願いします。


注:本記事は放送内容の完全な書き起こしではなく、必要に応じて要約や加筆・修正を行っています。また、敬称は省略させていただいています。

「SDGsティーチャー」は、TOKYOFMで2021年10月まで放送されたラジオ番組です。
同番組では、サステナビリティを実現し社会課題を解決するための活動を行っている団体や企業からゲストをお招きし、そのきっかけや今後の目標についてお聞きしました。

AuDeeのラジオアプリからも、過去の放送をご視聴いただけます。
https://audee.jp/voice/show/36191

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