概略

 SDGsを推進する立場の人から「どうやってメンバーを巻き込めばよいのか分からない」「思うようにSDGs推進に対するメンバーの熱量が高まらない」という声を聞くことがあります。SDGsを推進する上で多くのメンバーを巻き込み動かしていくにはどうしたらよいのでしょう?

神奈川県相模原市では、SDGs one by oneというSDGsに関する特設ホームページを運営し、地域の企業・団体・市民を巻き込んだ様々な活動を推進しています。その取り組みを推進されている相模原市役所市長公室みんなのSDGs推進課の榎本幸二さんにお話を伺いました。自治体はもちろん、企業においても活用できる様々な仕掛けを実施している相模原市の取り組みをご紹介します。


相模原市がSDGsの取り組みを始めたきっかけ

 神奈川県相模原市は、人口約72万人。横浜市、川崎市に次いで神奈川県で三番目の人口を擁する都市だ。みんなのSDGs推進課の榎本幸二さんは、相模原市のSDGs活動の企画推進の中心を担っている。榎本さんは大学卒業後広告代理店に就職し、営業職をしていたが、生まれ育った相模原で働き、地域に貢献をしたいと相模原市役所に転職した。その後税金関連の部署などを経て2017年に企画政策課に配属になり、市の総合計画(行政運営の総合的な指針)の策定を担当した。

相模原市の市街地

 榎本さんが最初にSDGsを知ったのは2018年だった。横浜市の総合計画にSDGsのアイコンが貼ってあったのを見て「なんだ、これは?」と調べたのがきっかけだった。その後、神奈川県がSDGsに力を入れていたこともあり、2019年に「神奈川SDGsフォーラム in さがみはら」を開催した際の運営に携わった。同フォーラムで博報堂の川廷 昌弘氏の基調講演を聞いて、「これはやっていかなければいけないぞ」と相模原市でもSDGsに取り組みたいと思ったという。

ちょうど時を同じくしてSDGs推進を掲げる本村賢太郎市長が新市長として着任し、2020年に企画政策課内に「SDGs推進室」を設立。その立ち上げを任された(同SDGs推進室は推進課に2022年に格上げされた)。しかし、時は新型コロナ感染症の拡大でイベントは全て中止、ワクチンなどの対応をしている他部署の応援に駆り出され、数か月はSDGs関連業務をほとんどできなかったが、その中でもできることをやろうと、カードゲームを開発したり、ホームページを立ち上げたりした。

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