出雲:今はまだSDGsでビジネスをするっていうのは結構大変なんですよ。はっきり申し上げてすごく難しいです。ですけれども、2025年に奇跡が起きるんですね。2025年になるとSDGsをやってないと会社が潰れちゃうんですよ。
魚住:そうなんですか?
出雲:いま明らかに疑っていますよね。(笑)それは絶対疑っていると思うんですけど、2025年に何が起きるかっていう話なんです。2025年になると今働いている15歳から64歳の生産年齢人口が変わるんです。今働いている人は、SDGsとかサステナビリティとかそういうものじゃなくて、効率が大事だし、お金をたくさん稼がないといけない旧来のビジネスをやってきた人、旧来の資本主義で成功してきた人が過半数なんですよ。
ただ、2025年になると15歳から64歳の人たちの半分、つまり、二人に一人が私と同じか私の後の1980年以降に生まれてきて2000年以降に二十歳になったミレニアルとZ世代が二人に一人となって社会の中心を担うようになります。
ミレニアルとZ世代というのは、もうこれ以上お金稼いだってしょうがないんですよ。だって地球が壊れちゃったら使い道すらない訳ですね。それをもうみんな分かっているので、環境とか持続可能な社会を作る、そういう仕事をしたいと思っていますし、そういう会社にしか就職しないんですよ。
ということは、2025年にうちの会社は儲かりますよ、利益が出ますよっていう会社があっても、そんな会社に誰も就職したいと思わない、優秀な人がパタッと来なくなるんですね。
吉野:そうですね。この番組にもSDGsを掲げると人が来るようになるし、今までのやり方では良い人が来ないという話をしてくださった企業の方が多くおられました。人口動態は将来を正確に予測できる指標とよく言われますが、そこまで劇的に変わるという実感を感じていますでしょうか。
出雲:日本だけじゃなく、全世界共通でミレニアルを特徴づけているイベントがあるんですけれども、2008年のリーマンショックと2011年の大震災です。例えば、アメリカで毎年大学生にピュー・リサーチ・センターというところがアンケートを取っているんですが、「あなたは資本主義どう思いますか?資本主義好きですよね?」ということを確認する調査なんです。
アメリカというのは資本主義の権化というか総本山じゃないですか。そのアメリカですらリーマンショックがあって今のままの資本主義だったら地球が壊れてしまうということで、アメリカの大学生の二人に一人が資本主義よりも社会主義に親近感を感じる、今のままの資本主義じゃだめだという答えになったんです。
これは日本でも全く同じで高いお給料がもらえるよりも多少お給料が下がったとしても社会課題を解決するような会社に就職したいと80%の人が答えたんですね。これがミレニアルやZ世代の最大の特徴なんです。だから今までの資本主義とは違うマインドセット・考え方を持っている仲間が会社、大学、政府・行政で二人に一人の主流になっていく訳ですから大きく変わりますよ。